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弁護士が教える婚姻費用の基本

婚姻費用とは、婚姻生活を維持するために必要な費用のことで、夫婦や未成熟子の生活費などが含まれます。この記事では、日暮里中央法律会計事務所 三上貴規弁護士が執筆し、「婚姻費用」について基本的な内容を解説します。

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[ご注意]
記事は、公開日(2023年2月6日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。

婚姻費用とは

婚姻費用とは、婚姻生活を維持するために必要な費用のことで、夫婦や未成熟子の生活費などが含まれます。
夫婦が別居や家庭内別居していて、相手が生活費を渡してくれないときには、婚姻費用の請求をすることとなります。
婚姻費用は、基本的には、収入が少ない方から収入が多い方に対して請求することができます。

婚姻費用請求の手続

婚姻費用を請求する場合、話し合い・調停・審判という手順を踏むことが多いです。

話し合い

婚姻費用は夫婦で話し合って決めることができます。
話し合いがまとまった場合、それに従って婚姻費用が支払われることになります。
話し合いがまとまらなかった場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになりますが、まずは調停を申し立てるのが通常です。

調停

調停では、裁判官1名、調停委員2名からなる調停委員会に間に入ってもらって、家庭裁判所で話し合いをします。
話し合いがまとまった場合、調停成立となり、それに従って婚姻費用が支払われることになります。調停での話し合いもまとまらなかった場合、調停不成立となり、自動的に審判手続に移行することになります。

審判

審判手続では、裁判所が「審判」という形で婚姻費用を決めることになります。

婚姻費用はいつの分から請求できるのか

婚姻費用を請求する場合、「いつの分から請求できるのか」については議論のあるところです。
別居や家庭内別居をした月の分から請求できるとする考え方もありますが、実務では、相手に婚姻費用を請求した月の分から請求できると考えられています。

少しわかりにくいところですので、具体例で説明します。
たとえば、1月から別居を開始し、相手から婚姻費用(生活費)が支払われていないとします。
その後、3月に婚姻費用の調停を申し立てた場合、請求することができる婚姻費用は、3月分からになります。1月分と2月分の婚姻費用は請求できないのです。

このように、相手に婚姻費用の支払いを求めたい場合、できる限り早く請求した方が有利になります。
請求の方法は、調停の申立てのほか、相手に書面を送る方法でもかまいません。
ただし、証拠が残るように、配達証明付き内容証明郵便を使って書面を送るのが望ましいです。

婚姻費用はいつまで請求できるか

婚姻費用は、夫婦が円満に同居するに至った時点か、離婚が成立した時点まで請求することができます。

婚姻費用の額はどのように計算されるのか

婚姻費用の額は夫婦の話し合いで決めることができます。

話し合いで決まらない場合、原則として、裁判所のホームページで公開されている「婚姻費用算定表」に基づいて計算されます。

婚姻費用算定表の使い方

まず、子どもの有無・人数・年齢に従って、使用する「表」を選びます。

たとえば、子どもがいない場合には、「表10」を使用することになりますし、12歳の子どもが1人いる場合、「表11」を使用することになります。

使用する「表」の「権利者の年収」(=請求する側の年収)と「義務者の年収」(=請求される側の年収)とがクロスする部分の金額が原則的な婚姻費用の月額になります。

給与所得者(サラリーマン)の場合と自営業の場合で、使用する金額が異なりますので注意が必要です。

年収の額は、給与所得者の場合は、源泉徴収票の「支払金額」の金額や、課税証明書の「給与収入」の金額を用います。

自営業の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」を用います。

まとめ

この記事では、婚姻費用の基本的な事項について解説しました。

この記事で解説した事項はあくまで基本的なものにすぎませんので、婚姻費用でお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。

婚姻費用は、基本的には、早めに請求した方が有利になりますので、できる限り早めの相談を検討するとよいでしょう。

法律事務所の中には、初回相談を無料としているところもあります。 費用に不安がある方は無料相談に対応している法律事務所を探してみるとよいでしょう。

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