弁護士が教える不倫慰謝料の基本
「不倫」という言葉は法律用語ではありませんが、一般的には、結婚しているのに配偶者以外の人と不適切な関係を持つことを指す場合が多いようです。
こちらの記事は日暮里中央法律会計事務所 三上貴規弁護士が執筆し、不倫慰謝料の基本をわかりやすく解説しています。
[ご注意]
記事は、公開日(2023年1月30日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
不倫とは
「不倫」という言葉は法律用語ではありませんが、一般的には、結婚しているのに配偶者以外の人と不適切な関係を持つことを指す場合が多いようです。
不倫は慰謝料を請求される可能性がある行為です。
なぜ不倫に対して慰謝料を請求できるのか
「慰謝料」とは、精神的苦痛を賠償するために支払われるお金のことです。
不倫は夫婦の共同生活の平和を破壊するような行為であり、不倫によって精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することができるのです。
不倫慰謝料は誰に請求できるのか
不倫慰謝料は、不倫をした配偶者と不倫相手の両方に請求することができます。
たとえば、夫が不倫した場合、妻は、夫と不倫相手の女性の両方に慰謝料を請求することができます。
ここで注意が必要なのは、二人合わせて2倍の慰謝料が認められるわけではないということです。
たとえば、不倫によって200万円の精神的苦痛を受けた場合、配偶者に200万円、不倫相手に200万円、合わせて400万円の慰謝料が認められるわけではありません。
この場合、配偶者と不倫相手に合計200万円の慰謝料請求ができるのみです。
配偶者と不倫相手は連帯して責任を負いますので、「配偶者と不倫相手に100万円ずつ請求する」こともできますし、「不倫相手だけに200万円請求する」こともできますが、合計で200万円の請求しかできません。
不倫慰謝料の金額
不倫慰謝料の相場
不倫慰謝料の相場は、数十万~300万円程度といわれています。
具体的な金額は事案によって変わってきますので、上記はあくまで目安と考えておきましょう。
不倫慰謝料の金額に影響する要素
不倫慰謝料の金額はさまざまな事情を考慮して決定されます。
不倫慰謝料の金額に影響する要素として、次のようなものがあげられます。
・結婚の期間
・不倫の内容、期間
・不倫によって夫婦関係が悪化したか
・子どもの有無、年齢
たとえば、結婚の期間が長ければ長いほど、不倫によって受ける精神的苦痛が大きくなり、慰謝料の金額が増える可能性があります。
また、不倫の回数が多かったり、期間が長かったりすると、それだけ精神的苦痛は大きくなると考えられますので、慰謝料の金額が増える可能性があります。
肉体関係がない場合でも慰謝料請求はできるのか
肉体関係(性交渉)がない場合でも慰謝料請求できる可能性があります。
たとえば、抱き合ったり、キスをしたりした事案で慰謝料を認めた裁判例があります。
このように、肉体関係がなくても、夫婦の共同生活の平和を破壊するような行為であれば慰謝料の対象となる場合があります。
不倫慰謝料請求が認められない場合
不倫の時点ですでに夫婦関係が破たんしていた場合には、慰謝料請求は認められません。
不倫によって夫婦の共同生活の平和が破壊されたのではなく、もとから壊れていたといえるからです。
まとめ
この記事では、不倫慰謝料の基本的な内容について解説しました。
不倫慰謝料は、基本的に、3年で時効によって請求できなくなってしまいますので、できる限り早めに弁護士に相談することをおすすめします。
法律事務所の中には、初回相談を無料としているところもあります。
費用に不安がある方は無料相談に対応している法律事務所を探してみるとよいでしょう。