弁護士が教える面会交流の基本
面会交流とは、子どもと離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的に会って話をしたり、一緒に遊んだり、手紙・メール・LINEなどの方法で交流することをいいます。
この記事では、日暮里中央法律会計事務所 三上貴規弁護士が執筆し、「面会交流」について基本的な内容を解説します。
[ご注意]
記事は、公開日(2023年2月6日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
面会交流とは
面会交流とは、子どもと離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的に会って話をしたり、一緒に遊んだり、手紙・メール・LINEなどの方法で交流することをいいます。
「面接交渉」と呼ばれることもあります。
たとえば、離婚して元妻が子どもと暮らしている場合に、元夫が月1回子どもと会って交流するなどです。
面会交流は子どものためのもの
面会交流は子どものための制度です。
面会交流によって、子どもは、「一緒に暮らしていない親からも愛されている」と実感することができます。
一方、面会交流が認められないと、子どもは、「一緒に暮らしていない親から見捨てられた」といった気持ちを抱いてしまうおそれがあります。
このように、面会交流は子どもの健全な成長にとって重要なものであり、子どもの利益を最優先に考えなければならないものなのです。
面会交流を実現するための手続
面会交流を実現したい場合、話し合い・調停・審判という手順を踏むことが多いです。
話し合い
面会交流については夫婦で話し合って決めることができます。
話し合いでは面会交流の内容や頻度について決めます。
たとえば、「毎月第1日曜日の午後4時~5時まで『A公園』で会う。」といった決め方が考えられます。
そこまで具体的に決められない場合には、「月2回会うものとし、日時・場所は別途協議して定める。」といった決め方も考えられるでしょう。
話し合いがまとまった場合、それに従って面会交流を実施することになります。
話し合いがまとまらなかった場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになりますが、まずは調停を申し立てるのが通常です。
調停
調停では、裁判官1名、調停委員2名からなる調停委員会に間に入ってもらって、家庭裁判所で話し合いをします。
話し合いがまとまった場合、調停成立となり、それに従って面会交流が実施されることになります。
調停での話し合いもまとまらなかった場合、調停不成立となり、自動的に審判手続に移行することになります。
審判
審判手続では、裁判所が「審判」という形で面会交流について判断を下すことになります。
面会交流が認められない場合
面会交流は子どもの利益を最優先に考えなければならないものですが、面会交流を認めるとかえって子どもの不利益となる場合も考えられます。
たとえば、面会交流の際に子どもを連れ去ってしまうおそれや、虐待するおそれがある場合などです。
このような場合には、面会交流自体が認められなかったり、交流の方法が手紙・メール・LINEなどの直接会わない方法に制限されたりします。
「養育費が支払われないから面会交流させない」という主張
「相手が養育費を支払ってくれないから、子どもと面会交流させない」という主張がしばしば見受けられます。
しかし、このような主張は認められないと考えられています。
なぜなら、養育費と面会交流は別の制度ですし、面会交流の実施は子どもの健全な成長にとって重要なことだからです。
養育費と面会交流は切り離して考えるようにしましょう。
なお、養育費の不払いについては、養育費請求調停を申し立てるなどの方法で対処することができます。
まとめ
この記事では、面会交流の基本的な事項について解説しました。
面会交流は子どもの利益を最優先に考えなければならないものだということをしっかりと理解しておきましょう。
この記事で解説した事項はあくまで基本的なものにすぎませんので、面会交流でお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。
法律事務所の中には、初回相談を無料としているところもあります。
費用に不安がある方は無料相談に対応している法律事務所を探してみるとよいでしょう。