離婚届を書く際の注意点 事前確認が必要な項目と提出までの流れ
離婚届の入手や提出は、市町村役場の窓口で簡単に行えます。多忙である場合やDVなどの事情がある場合には、入手も提出も郵送で完結させることができます。離婚届の書き方の基本は不備がないようにすることです。ルールを順守し記入しましょう。
昨今日本でも離婚することは珍しいことではなくなっています。離婚率も年々高まっており、いつ自分が離婚届に判を押す羽目になるかもわかりません。特にDVや暴言、モラハラや経済的暴力などを受けている人は、離婚の準備を着々と進める必要があります。そこでここでは離婚において必要な離婚届の書き方について詳しくご紹介していきましょう。
[ご注意]
記事は、公開日(2022年10月31日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
離婚届の入手方法
離婚の手続きを進めるには、「離婚届」の準備が必要です。この場合にはまず住んでいる地域の市区町村役所に行きます。そして戸籍を扱っている係で申し出れば、いつでも入手することができます。 離婚届のフォーマットは全国共通であり、どこの市町村役場でも同じなため出先のついでに入手しても構いません。ただDVや激しいコントロール下に置かれている人は、簡単に外出することもままならないでしょう。この場合には、市町村役場が公開している離婚届のPDFをダウンロードするとよいです。自宅にパソコンがない場合には、地域の民生委員に相談し、代わりに離婚届をダウンロードしてもらうか、市町村役場に離婚届を取りに行ってもらうということも相談してみてもよいでしょう。
離婚届の項目ごとの書き方
離婚届には、さまざまな内容を記入する欄があります。記入内容に不備があると離婚届は受理されずに、いつまでも離婚できない状態になってしまいます。一刻もはやく離婚手続きを進めたい方は、事前に離婚届の項目をすべて完璧に記入しておき、いつでも市町村役場に出せるようにしておくことが重要です。
欄外の日付
離婚届の項目のうり、まずは欄外の日付について紹介します。欄外の日付は記入した日を書くのではありません。離婚届を出す日付を書かなければならないのです。そのため欄外の日付は空欄にして置き、市町村役場に提出する直前に記入するのが賢明といえます。
日付の下の長殿
日付の下の長殿には、自分が提出する本籍地の市町村を記入しなければいけません。あくまでも本籍地を記入するのであり、住所地は記入してはいけないのです。
氏名と住所
氏名と生年月日を書きます。住所・世帯主の記入に関しては、夫婦で生活していた住所を記入します。
本籍地の記入
自分の戸籍を確認したうえで、本籍地を記入します。次いで、それぞれの父母を書きます。
離婚の種別
離婚の種別を書いたら、婚姻前の氏にもどる者の本籍を記入します。これもあくまで本籍地で、住所を書くものではありません。
未成年の子がいる場合
未成年の子の氏名は親権を持っている方が書きます。
同居の期間
同居の期間についてですが、同居したのがいつか分からない場合は大体の年月でも構いません。別居する前の住所は別居していなければ空欄のままでいいです。もともと夫婦で住んでいた住所を書くのが一般的です。
夫婦の職業
別居する前の世帯の主・夫婦の職業など、仕事は特に強制力はなく、書いても書かなくてもどちらでも構いません。
その他の欄
その他の欄には、父母が養父母の場合に名前を記入します。
届け出人
届け出人は自分の氏名を書きます。証人の署名・押印をしたら完了です。
離婚届を書く際に気を付けること
本籍地の住所の確認しておく
離婚届を書く際は、今住んでいる住所を書くのか、本籍地の住所を書くのか判断が難しい点といえます。戸籍を移動させる手続き上、前述したように戸籍のある住所を書かないといけない箇所があるので、しっかりと戸籍謄本を取り寄せて本籍地の住所の確認をしておかなければなりません。離婚届に証人の署名・押印欄の漏れがあると、市町村役場では受理してくれません。
離婚届に不備がないように注意
離婚届に不備があると、不受理になり離婚する日が先延ばしになるほか、また最初から離婚届を書き直さなければならず、元夫や妻と接点を持たなければなりません。そうならないように、離婚届はすべての項目を完璧な状態で記入しておくことが大切です。インターネット上でも、「離婚届の書き方」など紹介しているWebサイトが沢山ありますので、参考にしながら記入ミスがないように準備を進めていきましょう。
離婚届を書く前に夫婦で話し合う
離婚届を書く前に、夫婦で離婚後の決めごとについて話し合うことも怠ってはいけません。財産分与について、子供の親権について、慰謝料について、養育費について、面会交流についてなど、多岐にわたりしっかりと話し合って互いに合意したうえで離婚届を書くことが重要です。
事前に話し合いをしておかないと後になって話が違うと、離婚自体をなかったことにする、激昂するパートナーもいるので注意が必要です。もしモラハラやDVなどが原因で離婚を考えている場合は、話し合いにならずトラブルに引き起こす恐れも考えられます。
トラブルに発展させないためにも、離婚届をいきなり手渡すのではなく、状況にあわせて代理人弁護士を交えて話し合いをする、代理で話をしてもらうといったことも検討しましょう。家庭裁判所による調停や、離婚訴訟なども活用するのも賢明です。調停で決まったことは公正証書などにしておき、証拠を残すことも重要です。
離婚届の提出方法
離婚届の提出方法は、いたって簡単です。最寄りの市区町村の窓口に提出すれば完了です。しかし仕事や子育て、介護等で提出が難しい場合には、郵送で送ることも可能です。夫婦どちらかが提出しなければならず、そうしたことを決めるのも煩わしくトラブルの原因になるようであれば、郵送提出も一つです。
しかしながら郵送の場合、離婚届に不備があると不受理になってしまう可能性もあります。こうなると再び修正し記入して離婚届を出す必要があり、顔を合わせたくないパートナーと再び接点を持たないとならず、離婚手続きもスムーズに進みません。
代理人弁護士を立て、離婚届の内容をチェックしてもらい、その弁護士に窓口に提出してもらうという方法もあります。ただこの場合も、万が一離婚届に不備があっても弁護士は修正できません。
そのためスムーズに離婚を成立させようと思うのであれば、どちらか一方が直接市町村の窓口に提出しに行ったほうが賢明といえます。
離婚届は10日以内に窓口に提出する
もうひとつ、離婚届の提出にあたり、注意しなければいけないことがあります。それは、離婚調停を利用した際のケースです。離婚調停で合意が得られたら、離婚届は10日以内に窓口に提出しなければいけないルールがあります。
しかしながらモラハラやDVのパートナーであれば、調停後もそれに従わず離婚届を書かないこともあります。こうなってくるときちんと離婚裁判を行い、強制力のある行動に出なければいけません。離婚届を提出する際に、調停だけでは解決できないこともあることを心得ておくことも必要です。
まとめ
離婚届を書くにあたっては、きちんと不備のないようにルールを順守して記入することが大切です。少しでも不備があると、受理されずいつまでも離婚を長引かせることになるからです。状況により離婚届を入手するのも、届を出すことも困難な場合は、代理人弁護士や裁判所の調停、離婚訴訟を活用することもひとつの手段といえます。