モラハラ離婚するためのポイントや流れ
近年問題になっているのが、モラルハラスメントです。モラハラとは道徳的な嫌がらせ、配偶者に対して怒鳴る・無視する・命令する・脅迫する・物に当たるなどの行為をすることで、相手を精神的に追い詰める行為のことを指します。
モラハラは証拠が残りにくく、離婚するのが難しい傾向にあります。モラハラをする配偶者は、強い依存心や執着心などを持っているケースも多いため、弁護士をとおして離婚を交渉することが無難です。 暴力とは異なり、結婚するまで気づけず、結婚後にわかって苦しむということも多いです。
[ご注意]
記事は、公開日(2022年10月31日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
モラハラ離婚の特徴
相手が有責の離婚の理由はさまざまありますが、モラハラは民法770条1項5号のその他婚姻を継続しがたい重大な理由にあたります。
モラハラ離婚の特徴は、配偶者の言動がモラハラというだけでは離婚は認められないという点が挙げられます。配偶者の言動が、離婚原因の婚姻を継続しがたい重大な事由に該当しているという点を伝えていくことで離婚に同意してもらう必要があります。
ただし、モラハラの場合は直接的な暴力とは違って怪我をすることもないため、被害者自身も被害を受けていると気づきにくいというのが問題です。被害を受けて離婚したいと思っても、相談した弁護士に理解をしてもらえない、調停委員にもわかってもらえないというケースはよくあるとされています。理解をしてもらえないという点をあらかじめ知っておくことで、どうやって被害を伝えれば良いのかを意識して考えることが重要となります。
モラハラ離婚のそのほかの特徴として、証拠が残りにくいというのも問題となっています。モラハラをする配偶者は外では良い配偶者、良い親という印象を持たれていることも多く、家庭内でのイメージと外でのイメージが大きく異なることは少なくない状況です。このような状態だと、離婚をすることが難しいことも多いためしっかり証拠を集めておくことが求められます。
モラハラ離婚は、離婚するまでに長期化する傾向にあります。これは配偶者がモラハラをモラハラだと認識していない場合や、下に見ていた配偶者の言いなりになって離婚することは認めがたい、配偶者が自分から離れていくわけがないという思い込みがあるためです。
配偶者のモラハラが理由で離婚をしたいというときには、長期的になることを覚悟します。
モラハラ離婚をするためのポイント
モラハラ離婚をするためには、色々と準備をする必要があります。重要なのが、証拠を揃えるということです。モラハラはDVなどの暴力とは異なり、証拠が残りにくいというのが特徴となっています。
モラハラを認めさせるためには証拠を確保
調停や裁判では配偶者はモラハラ行為をしていないと、否定することが多いです。そのため、配偶者のモラハラを認めさせるためには証拠を確保することが求められます。
証拠がない段階で離婚を切り出しても、相手が警戒をして態度を変えることも考えられるため注意が必要です。また、いきなり別居してしまうと家に残してきた証拠を取り戻すことができなくなるため、別居するのも避けることが無難です。
モラハラを認めさせるためには証拠の種類
証拠となるのはモラハラを記録した日記やメモ、精神科などの通院記録や診断書、暴言を録音したデータ、警察や相談支援センターに相談した記録、配偶者から送られてきたモラハラに該当するメールなどですので、これらをきちんと取っておくことがポイントとなります。
離婚後の生活設計もしておきます。離婚後の生活で不安で離婚できないというケースも多いため、離婚後の生活方法や金銭について計画を立てておきます。
別居前に弁護士に相談
別居前に弁護士に相談しておくことも大切で、モラハラに詳しい弁護士であれば対策などをしてもらえます。心身の安全を確保するのも必要なことと言えます。モラハラ離婚はどうしても離婚手続きが長くなってしまうため、精神的な負担が大きいことから環境などを整えた上で離婚に臨むことが理想的です。
そのほか調停委員や裁判官にもわかりやすいように、モラハラが辛かったことを伝える話し方・伝え方をするというのも、離婚を納得してもらうためにも重要です。
モラハラ離婚するための流れ
モラハラ離婚をするためには、流れを知っておくこともおすすめです。具体的な進め方としては、証拠を確保します。
モラハラに詳しい弁護士に相談する
モラハラが辛く早く別居したいという人も多いですが、証拠がなければ慰謝料を請求することなども難しくなり、離婚理由であるモラハラの証拠を確保することも難しくなってしまいます。モラハラに詳しい弁護士に相談することで、どのようなものが証拠になるのか、どうやったら証拠が取れるのかなどアドバイスしてもらえます。
別居
次に行うのが別居です。同居のまま離婚をしようとしても配偶者の支配から逃れることが難しいためうまくいかず、離婚する気力がなくなってしまうことも考えられます。そのような状態を避けるためにも、早めに別居することを目指します。
離婚に向けて協議を始める
別居をして安全を確保してから離婚に向けて協議を始めます。自分で対等に交渉するのは難しいというケースも多く、怒鳴っていうことを聞かせようなどと考える配偶者もいるため、弁護士を入れて交渉することが無難です。
離婚調停
モラハラ離婚は交渉だけで合意することが難しいことから、離婚調停を利用するのも効果的です。離婚調停であれば、直接配偶者と話す必要がなくなり精神的な負担も軽くなります。
離婚調停でも離婚に至らなかったときには、離婚裁判という方法が選べます。
裁判になると証拠による立証が必須ですので、事前に集めた証拠はどれだけの効果があるのか、離婚が認められる可能性はどれぐらいなのかなど弁護士と相談しておきます。
離婚裁判は長期化する傾向にあるため、被害者に大きな負担になってしまうことが考えられます。そのため、できれば離婚調停などで離婚できるのが理想的です。
モラハラ離婚する際に注意すべきこと
モラハラ離婚で注意すべきこととしては、基本的に長期化するという点を覚えておきます。ほとんどの場合モラハラをした配偶者は抵抗する、離婚自体を認めても親権や慰謝料などの条件で揉めることが多いです。
モラハラをする人はプライドが高い人が多く、自分より下に見ていた配偶者の言いなりになって離婚することが気に食わないため、条件に難癖をつけてきます。また、外では良い人と思われていることが多いため、離婚によって自分の印象が悪くなることも避けたいと思っていることから、自己保身をしようとして交渉が長くなります。
離婚の準備をしていることを配偶者に悟らせない、というのもポイントです。準備をしているということを気づかれると、態度を変えて証拠が取れなくなってしまいます。または、よりモラハラ行為が悪化してしまい配偶者が家から出て行かないように妨害するケースも考えられます。これはモラハラしている人は配偶者に対して、強い依存心や執着心を持っているためです。
身の危険すら感じるようになるケースもあるため、離婚の準備をしていることに気づかれないように心がけます。
離婚の意思を伝えると、態度を改める人もいます。しかし、それは配偶者を逃さないための演技だといえます。モラハラをしている人は、自分の間違いを認められず、相手に非があると思っていることが多いとされています。
そんな人が態度を改めるのは配偶者を逃さないための泣き落としの作戦とも考えられるため、モラハラ配偶者から逃れるためにも離婚したいという意思をしっかり持って交渉していくことが重要です。
まとめ
モラハラ離婚は、離婚するまでに難しい傾向にあります。モラハラの被害に遭っているという自覚がない人もいるため、違和感がある場合には自分がモラハラに遭っているのではないかという疑いを持ち、離婚するときには弁護士に頼ることをおすすめします。 ただし、弁護士の中にもモラハラに詳しくない人もいるため注意が必要です。できるだけモラハラを理解してくれる弁護士を探すことも重要です。