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卒婚とは?勘違いしやすい離婚との違いとメリット・デメリット

世間体を気にして離婚に踏み切れない夫婦は多いのではないでしょうか。特に子供が自立すると、自分ひとりの自由な時間が欲しいとお考えの方もきっといらっしゃることでしょう。

そんな中、「卒婚」を考える夫婦が増えてきているのです。 このコラムでは卒婚を考える方に向けて、注意すべきポイントや準備しておくこと、メリット・デメリットをご紹介します。

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[ご注意]
記事は、公開日(2022年10月27日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。

卒婚とは?

「卒婚」とは、「結婚から卒業する」ことを意味する造語です。戸籍上の婚姻関係は残したまま、夫婦どうし干渉せず自由な生活を送るのです。離婚するにはさまざまな手続きをしなければならず、世間体なども気になるところです。

また卒婚は離婚とは異なるため、別居していても連絡を取り合ったり、同居していても家事などは別々に行ったり、自由にスタイルを決めることができます。夫婦の新しい形と呼べるでしょう。

卒婚と離婚の違い

50代となると子供も自立し、定年が近づき老後のことを考え始める世代ではないでしょうか。子供の自立や夫の定年退職を待って離婚する、熟年離婚も増えてきています。一方離婚を選択せず、夫婦それぞれが自由に生活を送るスタイルが卒婚です。

離婚するとなると、財産分与や年金の分割などでトラブルになることもあります。また離婚は世間的にもいまだネガティブなイメージがあるため、なかなか離婚に踏み切れないという考えの方もいらっしゃるでしょう。卒婚はそういった煩わしいことは抜きにして、「干渉せず自由に過ごせる」といういいところだけをとった結婚のシステムです。

離婚してもなお一緒に住むことは少ないでしょう。しかし卒婚は同居しているパターンもあり得ます。

また離婚は、「両者の希望が通った円満離婚」は、なかなか少ないのではないでしょうか。片側が離婚に合意しない場合は、離婚調停や離婚裁判で話を進めていく必要があります。一方で卒婚は夫婦二人の話し合いでお互いが納得して初めて成立するものです。

さらに離婚するとほとんどの夫婦の関係性は皆無に近いはずです、しかしながら卒婚では、夫婦の関係が修復し、再生する可能性もあるのです。

卒婚の注意点

「離婚に対しては抵抗があるけれど、卒婚なら考えられるかも?」とお思いの方に、卒婚の注意ポイントをご紹介します。

経済的な余裕があるか

卒婚は、共同生活を送らないことになるため、ある程度お金に余裕があった方がよいでしょう。夫婦それぞれに収入があるか、老後資金とは別の預貯金があるなど、経済的に問題ないかが大切です。

専業主婦(夫)の場合、配偶者に婚姻費用を請求することは法律上可能です。しかしながら、共同生活を送らない以上、婚姻費用を請求するというのは、配偶者からの合意が得られない懸念があります。

子どもが自立しているか

まだ子育て期間中であれば、子育て費用もかかるため、経済面での不安もあります。また手はかからなくとも子供中心の生活スタイルを変えるのは難しいため、結局は自由な時間がもてないのが実情ではないでしょうか。子育て中は夫婦の生計をともにしている方が都合はいいといえます。

また子供が自立すると夫婦二人だけの時間が増えます。これまでの夫婦関係とは異なり、好転する可能性もあります。卒婚は子供が自立するまで待つ方がおすすめです。

夫一人で家事ができる

「家事分担」と世の中ではささやかれています。しかし「夫が働きに出て、妻は家事育児」が当たり前だった世代にとって、家事ができない方が多いのではないでしょうか。

そんな夫にとっては、妻からいきなり卒婚を提案されたとしても、困惑してなかなか受け入れづらいでしょう。

夫婦どちらとも自由を欲しがっている

どちらか片方が趣味や自身の自由のために卒婚を提案しても、相手に受け入れてもらえない可能性があります。相手に特に趣味もなく、自由になりたいと感じていない場合、自分だけ楽しく過ごしていても、どこかで罪の意識などを感じてしまうかもしれません。

卒コンの事前準備

離婚より気軽だといっても、卒婚には準備が必要です。夫婦間で話し合っておいた方がよいこともありますので、ポイントをご紹介します。

家族の同意を得る

夫婦間の同意は大前提です。相手が認めずには話は進みません。家を出たとすれば、それは家出や別居となってしまい、卒婚とはいえません。また子供や同居家族へも説明をします。

生活費を確認する

卒婚した後は、自分のことは自分でします。生活費も同様です。専業主婦(夫)だった場合は、これまでどおり生活費をもらえるとは限りません。自分の貯金や仕事を確保できなければ、卒婚は難しいかもしれません。

転居先を探す

別居を望んでいるのであれば、転居先を探す必要があります。また転居先だけでなく、家具家電なども一緒に準備します。夫婦の取り決めや距離感、子供などの事情も含めて、近くに住むのか遠くに住むのか考えましょう。

お互いの介護について

病気になってしまった、介護が必要になったといった場合、どうするのか決めておきましょう。面倒を見る・見ないは大きな問題ですし、経済面にも影響します。卒婚を継続するのか否かを決めておけるとよいでしょう。

卒婚のメリット・デメリット

卒婚には煩わしさはないため、メリットはたくさんあります。一方で気をつけないといけないデメリットもありますので、それぞれご紹介します。

卒婚のメリット

婚姻関係は変わらない

離婚とは異なり婚姻関係はそのまま、面倒な手続きをせずお互いが自由になれるところです。やっぱり一人は寂しい、経済的にも厳しいなどといった場合、元の結婚生活に戻すことができます。

相続関係がそのまま

婚姻関係にあるため、財産を共有し相続権などもそのままです。離婚すれば財産分与から年金分割請求まで手続きが大変ですが、卒婚はそのような煩わしいことはありません。

居住スタイルを選択できる

卒婚はあくまでお互いが干渉せず、自由な生活を送ることが目的です。別居でも同居でもスタイルは自由です。経済的な面を考慮しながら、夫婦の意向で選択できます。例えば、週末だけ別居するといったスタイルなどもあるかもしれません。

世間体を保てる

離婚すると面倒なのが世間体です。親族の集まりへの参加や、周囲との日常会話、緊急連絡先の記入など、あらゆる生活シーンにおいて世間体を気にしなくて済みます。

子どもや親も抵抗が少ない

いつでも戻れる可能性のある卒婚は、子供や親にとっては離婚よりも抵抗が少ないといえます。

卒婚のデメリット

新しい恋愛はできない

自由な生活を手に入れたとしても、新たな恋愛は要注意です。婚姻関係にあるため不貞行為と見られてしまい、慰謝料を請求されかねません。卒婚を取り決める際に、異性関係についても話し合っておければ安心です。

経済的な余裕がないときびしい

新たな新居や生活費、自由に過ごす趣味のお金など、卒婚にはお金がかかります。夫婦それぞれの収入があればいいですが、預貯金を崩すとなると老後の生活にもひびいてきますので注意したいところです。

離婚につながるリスクがある

卒婚によって、長期間の別居生活を送っていると離婚のリスクが高まります。

相手への情も薄れ、他の人に目移りしてしまうといった可能性もでてきますし、一人生活の耐性ができることにより、離婚に踏み切ろうといった考えになるかもしれません。

まとめ

卒婚について、離婚との違いや注意すべきポイント、メリット・デメリットなどをご紹介しました。卒婚は、婚姻関係はそのまま、夫婦がそれぞれ自由な生活を送れる新しいスタイルです。離婚に抵抗があるには、取り入れてみてもよい結婚のスタイルでしょう。

卒婚を検討されている方の参考になれば幸いです。

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