「18歳で成人」に法改正。「親権」に関する変更点や親権者の決め方などについて
親権とは、未成年者について法律上の保護者としての権限を持つ者のことを指します。親権者は、未成年者の生活全般に関する権限を持ち、未成年者の生活や健康、教育、財産管理について責任を負います。親権は、婚姻関係にある父母は共同で持つことが原則となっています。
2022年4月に民法改正が施行され、親権に関する変更もありましたので、まとめます。
[ご注意]
記事は、公開日(2023年3月16日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
親権者の決め方
離婚した場合、親権者は、裁判所が判断することになります。裁判所は、未成年者の福祉を最優先に考慮し、親権者を決定します。具体的には、未成年者との親子関係の維持や、生活環境の安定、教育環境の確保などが重要なポイントとなります。
親権者を決めるときに重視されるポイント
裁判所が親権者を決める際に重視されるポイントは以下の通りです。
親子関係の維持
親権者を決める際には、親子関係を維持することが重視されます。これは、未成年者が親子関係を保ち、安心して育てられるようにするためです。例えば、どちらかの親が海外に移住してしまうと、子どもとの接触が難しくなります。そのため、子どもの生活や福祉に配慮しつつ、親権者を決める必要があります。
生活環境の安定
未成年者が安定した生活を送るためには、生活環境の安定が必要です。例えば、引っ越しや転校の頻度が多いと、学校や友達との関係が崩れることがあります。そのため、生活環境の安定を考慮して、親権者を決める必要があります。
教育環境の確保
未成年者が適切な教育を受けるためには、教育環境の確保が必要です。例えば、通学距離や学校の質、進路などが考慮されます。また、文化や宗教などの価値観も重視されることがあります。そのため、教育環境の確保を考慮して、親権者を決める必要があります。
未成年者の意思の尊重
未成年者の意思も考慮されます。例えば、どちらかの親について行きたいという意志がある場合は、その意思を尊重することが重要です。ただし、未成年者が適切な判断ができるかどうかは判断が難しいため、裁判所が最終的に判断することになります。
その他の要素
その他にも、親権者が仕事で忙しく、子育てができない場合や、適切な財産管理ができない場合など、親権者に必要な要素を考慮することがあります。
親権者を決める際には、これらのポイントを総合的に考慮し、未成年者の最善の利益を守ることが求められます。
親権者の変更方法
親権者は、裁判所によって決定されますが、必要に応じて変更することができます。例えば、親権者に不適切な行為があった場合や、未成年者の生活環境が大幅に変化した場合などが該当します。
親権者の変更を求める場合は、再度裁判所に申し立てる必要があります。変更を求める理由や状況によっては、弁護士の協力が必要になる場合があります。
「親権者変更調停」に必要な書類や収入印紙、郵便切手
親権者変更調停に必要な書類
- 申立書とその写し1通
- 申立人の戸籍全部事項証明書
- 相手方の戸籍全部事項証明書
- 子どもの戸籍全部事項証明書
親権者変更調停に必要な費用
- 収入印紙: 子ども1人当たり1,200円分の収入印紙を貼付
- 郵便切手: 各地域の裁判所によって異なるため、必要に応じて確認する
以上が、親権者変更調停に必要な書類や費用の概要です。なお、地域によって細かい手続きの違いがある場合もありますので、詳細については、申請をする裁判所に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
合意による変更
合意による変更は、夫婦が離婚や別居をする際に、親権者を変更する場合に行われます。この場合、夫婦が話し合いを行い、合意が成立した後、離婚や別居協議書に明記された内容に基づいて親権者を変更することになります。
合意による変更は、親権者が納得している場合には、裁判所による変更に比べて手続きが簡単です。ただし、親権者の変更には、未成年者の福祉を最優先に考慮する必要があります。そのため、夫婦が合意に達しても、裁判所が認めない場合もあります。
以上のように、親権者の変更方法には、調停による変更と、合意による変更の2つがあります。どちらの場合も、未成年者の福祉を最優先に考慮した上で、変更を行う必要があります。
2022年4月1日の改正民法の親権の変更点
2022年4月1日から施行された改正民法により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これにより、未成年者の親権者に対する権利や義務が変更されることになります。
親権者に対する権利の変更点としては、未成年者の承諾が必要となる行為が増えることが挙げられます。例えば、18歳未満の未成年者が医療行為を受ける際には、親権者の同意が必要でしたが、成人年齢の引き下げにより、18歳以上であれば未成年者本人の同意で医療行為を受けることが可能になります。
一方、親権者に対する義務の変更点としては、未成年者の扶養責任が変更されることが挙げられます。具体的には、18歳以上の未成年者が高等教育を受ける場合、親権者はその扶養責任を負うことになります。ただし、成績や進路状況などを考慮して、裁判所が扶養責任の分担を変更することも可能です。
まとめ
離婚した場合、親権者は裁判所が判断することになります。未成年者の福祉を最優先に考慮し、親子関係の維持や生活環境の安定、教育環境の確保などが重要なポイントとなります。親権者は、必要に応じて変更することができますが、再度裁判所に申し立てる必要があります。2022年4月1日から施行された改正民法により、成人年齢が18歳に引き下げられたことにより、未成年者の承諾が必要となる行為が増える一方、親権者に対する義務が変更されることになりました。