婚姻費用とは?請求できるケース、請求できないケースをご存じですか?
婚姻費用とは、夫婦や未成年の子供が、夫婦の収入や社会的地位に相応な生活をするにあたって必要となる費用のことです。
法的には、婚姻関係にある夫婦には、お互いの収入や家庭内の役割に応じて、この婚姻費用を分担する義務があります。別居している場合でも、夫婦の収入に応じて、収入の高い方が一定の金銭的負担をすることが求められます。この分担は、別居中であっても、夫婦関係が継続している限り、義務として続きます。
具体的には、衣食住にかかる費用、子供の生活費や教育費、医療費、出産費、冠婚葬祭費、交際費、娯楽費などが含まれます。夫婦関係が継続している場合、婚姻費用を支払うことが義務となります。
[ご注意]
記事は、公開日(2023年3月6日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
婚姻費用と養育費の違いは
婚姻費用と養育費は、法的に異なる義務として認められています。
婚姻費用は、夫婦間での分担義務であり、お互いの生活費や家計費などを支払う義務です。婚姻関係がある限り、夫婦双方に婚姻費用の支払い義務があります。
一方、養育費は、親が子供を養育するために支払う費用であり、離婚や別居などによって親子関係が維持されている場合に支払われます。養育費は、子供の年齢や学業成績、生活必需品などを考慮して決定され、一定の期間支払われる場合が一般的です。
つまり、婚姻費用は夫婦間での義務であり、養育費は親と子供間での義務であるという点で違いがあります。また、婚姻費用は別居中でも支払い義務がありますが、養育費は離婚や別居が発生した場合に支払われるという点でも違いがあります。
婚姻費用分担請求とは
婚姻費用分担請求とは、別居している夫婦のうち収入の高い方が、収入の低い方に対して一定の生活費を支払うことを求められる手続きです。
具体的には、収入が低い方が、収入が高い方に対して、婚姻費用の分担を請求することができます。これは、離婚していない夫婦に対しても適用されます。
婚姻費用は、夫婦が社会的地位に相応しい生活を維持するために必要な費用を指し、法律上、婚姻関係にある夫婦には、お互いの収入や家庭内の役割に応じて、この婚姻費用を分担する義務があるとされています。
請求できるケースとは
婚姻費用を請求できるケースとしては、以下のような場合が挙げられます。
1、別居中で収入が低い方が、収入が高い方に対して婚姻費用の分担を請求する場合。
2、夫婦が同居していても、収入が低い方が生活費を支払うことができない場合に、収入が高い方に対して婚姻費用の分担を請求する場合。
3、配偶者が病気や怪我で働けなくなった場合に、もう一方の配偶者が収入を得ている場合に、収入が高い方に対して婚姻費用の分担を請求する場合。
4、配偶者が家庭内の仕事をしている場合に、配偶者の仕事が収入につながっていない場合に、もう一方の配偶者に対して婚姻費用の分担を請求する場合。
ただし、婚姻費用の請求には条件があり、別居中であっても相手方に対する過失がないことや、収入が低い方が合理的な努力をして自己の収入を増やすよう努めたことなどが考慮されます。また、婚姻費用の請求は、裁判所での審判を経て決定されることになります。
請求できないケースとは
以下のようなケースでは、婚姻費用の分担請求ができない場合があります。
1、配偶者が事実婚である場合
2、配偶者が別居中であっても、財産分与や慰謝料等が既に支払われた場合
3、配偶者に収入がなく、生活保護や社会保障などの支援を受けている場合
4、配偶者が収入があるにもかかわらず、その配偶者による暴力行為等がある場合
5、配偶者が既に死亡している場合
ただし、これらのケースでも、具体的な事情によっては婚姻費用の分担請求が認められる場合があります。詳細は弁護士や司法書士などの専門家に相談することが必要です。
婚姻費用はいつからいつまで請求できるか
婚姻費用は、別居を開始した日から離婚が成立するまでの期間について、請求することができます。また、別居前から離婚成立までの期間についても、必要に応じて請求することができます。
ただし、請求可能な期間は、一定の期間を過ぎると消滅時効によって請求できなくなる場合がありますので、その点についても注意が必要です。具体的には、民法法定時効に基づき、5年以内に請求する必要があります。