離婚には種類がある?!手続きの違いや流れについて解説
離婚にはさまざまな種類あります。協議離婚の場合の手続きは、話し合いで合意し、離婚届を役場に提出して離婚が成立します。しかし裁判や調停離婚となると、それに対する準備が必要なほか、和解後も10日以内に和解調書謄本と離婚届を出さなければいけません。 離婚することは現代では珍しいことではなくなりました。価値観のずれ、性格の不一致、子育て方針の食い違いなどで喧嘩が絶えないくらいならば、離婚してしまった方が子供のため自身の精神衛生上よいといえるでしょう。今パートナーとの関係が悪く早く離婚したい人へ、離婚手続きについて詳しくご紹介します。
[ご注意]
記事は、公開日(2022年10月31日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
離婚の種類
離婚といっても、実はさまざまな種類があります。一般的に広く多くの人が知っている離婚が、「協議離婚」といわれるものです。
協議離婚
協議離婚は、互いにパートナーが話し合い、合意して離婚するパターンを指します。手続きも夫婦互いが離婚届に必要事項を記入、捺印すれば、離婚届を市町村の窓口に提出して完了します。
特に協議離婚では親権や面会交流、財産分与に養育費などが話し合われます。夫婦どちらかの不倫や浮気などの不貞行為による離婚であれば、慰謝料などの話し合いも行われます。
しかし、いくら長年夫婦をしていたからといって口約束ではいけません。口約束は後になってトラブルになり、何の効力も発揮しないことがあるからです。
協議離婚では、離婚協議書を作成することをおすすめします。もちろん弁護士などが仲介に入って作成すれば、より確実なものになるのはいうまでもありません。さらに、役場で公正証書にしておくとより法的効力が強くなるのでおすすめです。
協議離婚のほか、調停離婚、裁判離婚があります。
調停離婚
家庭裁判所で調停委員を挟んで話し合いで決めるのが調停離婚です。強制力がないのが問題で、調停離婚で成立しないことも多々あるのです。
裁判離婚
調停で不成立の場合、家庭裁判所に離婚訴訟を起こす裁判離婚があります。しかし裁判になると長期化する場合や、パートナーが激昂してかえって財産分与がスムーズにいかなくなることもあるので、代理人弁護士を立てて和解に向けて話し合うことが賢明です。
離婚の流れ
前述したように、協議離婚はいたってシンプルな離婚の流れになります。夫婦が互いに話し合い、合意をして離婚届を記入し、市町村役場の窓口に離婚届を提出するだけで受理され、離婚が成立します。
離婚届を入手
離婚に際しては、事前に市町村役場で離婚届を入手する必要があります。離婚届には、住所や本籍地の住所を記入するところがあるので、きちんと事前に戸籍謄本を取り寄せ本籍住所を把握しておく必要があります。離婚届に不備がなければそのまま受理し離婚は成立です。
離婚協議書を作成
親権や財産分与などあとで揉めないように、離婚協議書を作成し公正役場に提出し公正証書で残すことが重要です。公正証書を残すことで離婚協議書の効力が担保され、養育費や慰謝料の未払いを防ぐことができます。
調停離婚の場合
調停離婚になると、離婚までの流れは協議離婚とは異なります。家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があるからです。離婚調停当日までに、申立書、事情説明書に連絡先等の届出書を用意します。進行に関する照会回答書や夫婦の戸籍謄本、年金分割のための情報通知書も必要です。
必要書類を準備し、調停当日は調停委員を介して離婚の話し合いを行います。話し合いで合意し、調停が成立すると離婚成立という流れです。ここで合意せず決裂すると、裁判離婚に突入します。
家庭裁判所に訴状を提出し、第1回口頭弁論の通知・答弁書の提出、次いで第一回口頭弁論期日を迎え被告は主張や反論を展開します。第2回目以降の口頭弁論では、反論主張の裏付けとなる証拠を提出し本人尋問、証人尋問をして陳述書を作成します。その後、判決や和解によって裁判が終了し、控訴がなければ離婚成立という流れです。
離婚の手続き
離婚届に必要事項を記入、捺印し市町村役場の窓口に離婚届を提出することで離婚の手続きは完了です。しかし夫婦互いが子育てや仕事、介護で多忙を極め、市町村役場に離婚届を提出しに行けないケースもあります。この場合は、離婚を郵送にて手続きを完了させることもできます。
しかしながら離婚届に不備があると、不受理になり修正が必要になります。離婚届を書き直して市町村役場に郵送するか、窓口に行かなければならなくなり、手続きが煩雑でなかなか離婚が成立しません。そのため、できれば郵送ではなく、弁護士などの代理人に離婚届を提出するなど手続きをしたもらった方がよいでしょう。弁護士が介入することで、記入の不備や記入漏れも事前にチェックが入り、確実に手続きできます。
離婚届の記入
離婚届の記入には、特に現住所と本籍地住所の区別もしっかりつけておくことが必要です。本籍地住所を記入しなかったことで、不受理になることも多々あります。そして調停離婚の際の離婚手続きは、判決が下りた後10日以内に調停調書と離婚届提出など手続きを行う必要があります。
裁判離婚
裁判離婚についても同様であり、和解成立から10日以内に和解調書謄本と離婚届を市町村役場に提出する必要があります。期日を守らないと、また煩雑な離婚手続きをすることになります。弁護士に依頼するとなるとさらに費用がかかるため、注意が必要です。離婚の手続きのルールを守ったうえで離婚をスムーズに行いましょう。
子供がいる場合の離婚の手続き
夫婦二人だけで子供がいないと、離婚の手続きは比較的スムーズに進みます。協議離婚で財産分割、もしくは慰謝料の取り決めを離婚協議で公正証書に残しておけば、スムーズに確実に離婚が成立します。
子供がいる場合の離婚手続き
子供がいる家庭での離婚の手続きは、少々複雑になるのは致し方ありません。子供が思春期の場合や、受験を控えていると精神衛生上よくありません。子供の立場を十分理解したうえで、離婚のタイミングや手続きに関して十分話し合いをしておくことが大切です。
さらに、親権をどちらにするのか、姓や戸籍をどうするべきか、養育費や面会交流についてもよく話し合いましょう。口約束ではなく、協議書として残し公正証書にしておくことが安心です。特に離婚届けに親権について問う項目があるので、必ず離婚時には決めておかなければなりません。
子供の受験などを考慮してタイミングを見計らい離婚届を郵送もしくは、夫婦のどちらかが市町村役場に離婚届を持っていき離婚を成立させます。それまでに子供が安心して学習や通学できるような立地の生活拠点も、当然のことながら決めておく必要があります。
離婚成立後には、子供に関する法的手続きもたくさん行う必要があります。子の氏の変更許可申出を子供の居住地のある家庭裁判所に提出しなければなりません。
児童手当の受取人変更も住所変更届と同時に市町村役場で行いましょう。児童扶養手当・医療費助成の申請も自治体窓口で行います。ほかには学資保険や子供名義保険の受取人変更、学校や保育園に世帯主の変更などおこなう必要もあります。離婚に際してはどちらかというと、離婚後に子供関係の手続きが多いといえます。
まとめ
離婚にもさまざまな種類が存在し、協議離婚に調停離婚、裁判離婚があります。それぞれ離婚に際し手続きや流れが異なるので注意が必要です。裁判離婚や調停離婚では、判決が下りた後や和解後10日以内に離婚届、それにまつわる書類を提出しなければならず注意が必要です。子供がいるケースの離婚では、少々流れや手続きがさらに煩雑になります。