財産分与の割合を決める方法と基本的なルールとは
財産分与は、夫婦が婚姻関係を解消する際に、共有財産や個人財産を分配することを指します。日本においては、財産分与は「民法」に基づいて行われます。
具体的には、夫婦が離婚する場合、共有財産や個人財産を分配することで、婚姻関係を解消することが求められます。財産分与は、配偶者双方が公平な扱いを受けることが求められます。
[ご注意]
記事は、公開日(2023年3月16日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。
基本的なルール
財産分与においては、夫婦の共有財産や個人財産を分割します。
共有財産とは、夫婦が婚姻期間中に共同で取得した財産であり、個人財産とは、夫婦が婚姻期間前に取得した財産や、相続、贈与などによって取得した財産を指します。
共有財産については、財産分与の際には原則として、財産の種類、状態、価額、配偶者の年齢、職業、健康状態などを考慮し、公正な配分を行うことが求められます。ただし、婚姻関係期間中の共有財産の取得に対して、一方の配偶者が過剰な貢献を行った場合、その配偶者に対しては適切な補償を行うことが認められます。
また、共有財産に対しても、夫婦の協議によって分配の方法や割合を決めることができます。ただし、配偶者の協議によって分配が合意された場合でも、法律に違反するような極端な不公正な分配は認められません。
個人財産については、原則として財産分与の対象外とされます。
ただし、婚姻関係期間中に個人財産が共有財産に転化した場合、その部分については財産分与の対象となります。また、相続、贈与によって取得した個人財産については、その性質や配偶者の財産状況に応じて、分配の対象となることがあります。
割合を決める方法
財産分与において、割合を決める方法にはいくつかの手法があります。以下では、代表的な方法をいくつか紹介します。
均等割合
均等割合は、財産総額を2で割り、配偶者双方に対して同じ割合で財産を分割する方法です。たとえば、夫婦が財産総額1000万円の場合、均等割合によれば、夫婦それぞれに500万円ずつが割り当てられます。この方法は、簡単かつ公平な方法であるため、一般的に用いられています。
配分割合
配分割合は、夫婦が財産総額に対してそれぞれどの程度の貢献をしたかに応じて、財産を配分する方法です。たとえば、夫が財産総額の70%に貢献し、妻が30%に貢献した場合、財産分与においても同様の割合で分割されます。ただし、財産の評価方法によって、配分割合が異なることがあります。
時効割合
時効割合は、夫婦が離婚から一定期間が経過した後に、財産分与を行う場合に用いられる方法です。たとえば、夫婦が離婚してから10年が経過し、その間に夫が収入を得て貯蓄を行った場合、その貯蓄分は夫の財産として扱われます。ただし、この方法は、長期にわたって夫婦が別居していた場合や、財産について十分な情報が得られなかった場合に限られます。
裁判所による判断
最終的に、財産分与の割合は裁判所によって決定されることがあります。裁判所は、夫婦の財産状況や離婚の原因などを総合的に勘案して、公正かつ合理的な割合を決定します。裁判所による判断は、その場での証言や証拠などに基づいて行われるため、一定の時間と費用が必要になることがあります。
特定の財産の割合
夫婦が保有する財産のうち、特定の財産については、別途の割合が設定されることがあります。たとえば、夫婦が共同で購入した不動産について、どちらがいくら出資したかに応じて、それぞれの出資割合に従って分割することが考えられます。
合意割合
夫婦が離婚に際して、財産分与の割合について合意を得ることができれば、その合意に基づいて分割を行うことができます。ただし、合意が成立した場合でも、その内容が公正かつ合理的であるかどうかを確認する必要があります。
独自ルールの適用
法的には、離婚に際しては財産状況に応じて財産分与を行うことが原則となっていますが、特定の場合には独自ルールが適用されることがあります。たとえば、離婚原因が夫婦双方にある場合や、夫婦が別居中に相手方に対して一定の扶養義務を負っていた場合などが該当します。
以上が、財産分与の割合を決める代表的な方法です。ただし、実際には状況に応じて複数の方法を組み合わせて適用することが多く、その場合には法律家や専門家のアドバイスを受けることが望ましいとされています。
例外となるケース
財産分与においては、配偶者双方が公平な扱いを受けることが求められますが、例外的なケースも存在します。以下に代表的な例外をいくつか紹介します。
夫婦の協議による分配が合意された場合:配偶者双方が合意した分配割合が公正であれば、裁判所はその分配に従うことができます。
過去の行為に基づく請求権がある場合:一方の配偶者が過去に損害を受けた場合、その配偶者は損害賠償請求権を有することがあります。この場合、請求権がある財産については、財産分与の対象となります。
配偶者の非常識な行為がある場合:配偶者の非常識な行為があった場合、その配偶者には財産分与の権利が制限されることがあります。たとえば、借金や浪費、不倫などがその例です。
共有財産がない場合:婚姻期間中に共有財産を取得していない場合、財産分与は原則として行われません。
まとめ
以上のように、離婚における財産分与には様々な要素が関わっています。公平な割合を決定するためには、配偶者双方の同意や裁判所の判断が必要になる場合があります。また、例外的なケースも存在し、非常識な行為や共有財産がない場合には財産分与の対象にならないことがあります。
離婚によって生じる財産分与には、感情的な面や法的な面が関わっているため、紛争に発展することもあります。配偶者双方が公正な扱いを受けられるように、早めに弁護士の助言を仰いだり、冷静な判断を心がけることが大切です。
最後に、離婚における財産分与は配偶者双方の将来の生活に大きな影響を与えるため、できるだけ円満な解決を目指すことが望ましいと言えます。