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協議離婚できなかったら?法定離婚事由で離婚する5つのケース

近年、離婚という選択肢をされる方が珍しくなくなりました。長年一緒にいると考え方が変わるなど、さまざまな理由から離婚を決断する夫婦がいらっしゃいます。離婚には種類があり最も多いのは、夫婦で話し合って決める「協議離婚」です。

今回は、協議離婚とは何か、協議離婚ができない場合について説明いたします。離婚して新たな生活を踏み出したい方のお役にたてれば幸いです。

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[ご注意]
記事は、公開日(2022年10月31日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士に最新の法令等について確認することをおすすめします。

協議離婚は誰でもできる?

「協議離婚」とは、第三者を交えずに夫婦だけで合意のもと離婚を決めることをいいます。夫婦間の話し合いで離婚が決まります。第三者を交えないため、早く離婚ができるメリットがあります。

また、法律で決められた離婚理由がなくても離婚ができるため、比較的容易であるといえます。

協議離婚は一方的な言い分で成立するのか?

答えは「いいえ」です。協議離婚は、お互いの合意があって成り立ちます。

現在、離婚する夫婦の9割が協議離婚だといわれていますが、相手が同意しないと協議離婚は成立しません。話し合いがまとまらない場合、弁護士など仲介者を挟んだり、「調停離婚」を利用したり、別の方法を検討する必要があります。

話し合いがまとまらない場合は?

夫婦で話し合いがまとまらない場合は、「調停離婚」や「裁判離婚」へと発展します。裁判で離婚するには、法定離婚事由に当てはまる離婚理由が必要です。性格の不一致は法律で定められた離婚理由には当てはまらないため、離婚できない可能性があります。

調停離婚とは?

調停離婚とは、第三者を交えて話し合いを行う離婚をいいます。裁判所の調停を経て、第三者である調停委員を交え、離婚の話し合いを行います。相手が離婚に同意しない場合や、相手が離婚に同意したが財産や親権を渡さないなどで離婚条件がまとまらない場合は裁判所の調停に行き、調停離婚の手続きを踏みます。

調停離婚のメリットは、第三者が話し合いの場にいるため、冷静に話ができるなどが挙げられます。当事者だけの場合は、感情的になって話し合いがまとまらない可能性があります。

しかしながら調停離婚も話し合いを行うため、相手の合意にいたらないと離婚はできません。それでも離婚したい場合は、裁判で争い離婚することになります。

「法定離婚事由」とは?

相手の合意なく離婚できるケースがあります。調停離婚が成立しない場合は、裁判で争い離婚を取り決めます。裁判で離婚を決める場合、「法定離婚事由」が必要です。法定離婚事由は、民法第740条で定められている離婚が認められる正当な理由のことを指します。法定離婚事由に定められている離婚理由が当てはまらない場合は、相手が離婚に合意していなくても離婚が認められす。

配偶者が離婚に同意しない場合は、決定離婚事由をもとに離婚が正当だと裁判官に主張します。裁判では証拠が必要となり、離婚できるまでに時間を要します。ご自身のみで裁判を乗り切るのは困難なため、離婚問題が得意な弁護士に相談するのがおすすめです。

5つの「法定離婚事由」

法定離婚事由に定められている理由は、以下の5つです。これらの事由に当てはまる場合は、相手が離婚に納得していなくても離婚が認められます。

不貞行為

文字どおり、浮気や不倫など、配偶の意志で異性との性的な行為や関係に陥った場合は、相手の同意がなくても離婚が認められます。不貞行為だと認められるためには、証拠が必要です。SNSやメールでのやりとり、ホテルに出入りしている写真などがないと不貞行為とは認められません。浮気の疑いがある場合は、証拠集めをすぐに始める必要があります。

生活費を払わないなどの悪意の遺棄

「悪意の遺棄」に当てはまるときは、相手の合意がなくても離婚が認められます。悪意の遺棄という言葉を初めて聞く方が多いのではないでしょうか。夫婦は民法752条で「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められています。これを何か特別な理由なく、義務を果たしていない場合は、悪意の遺棄に当てはまります。例えば、働いているのに生活費を払わない、合意なく別居を始めた場合などです。

悪意の遺棄に当てはまり離婚できる例

  • 働いているのに家に生活費を入れない
  • 専業主婦で収入源がないとわかっているのに生活費を渡さない
  • 働けないのに医療費などを支払わない
  • 同意なく勝手に別居を始めた
  • 理由なく家出を何回もする
  • 夫が健康なのに働かない
  • 家にカギを掛けて相手が入れないようにする

単身赴任によるやむを得ない別居や病気で働けないなどの理由から生活費を払えない場合は、悪意の遺棄とは認められません。

配偶者の生死が3年以上不明

配偶者が行方不明になり、生死が3年以上不明の場合は、相手の同意なく離婚が成立します。配偶者と連絡が取れなくても、生きているとわかっている場合は生死不明に当てはまりません。

配偶者に財産がある場合は、離婚ではなく「失踪宣告」を検討をしたほうがいいでしょう。失踪宣告をした場合、配偶者が残した財産を相続できます。失踪宣告でなく離婚をすると通常の離婚と同じ扱いとなり、遺産は基本的に半分となります。

失踪宣告は、民法30条に規定されていて、行方不明の人を法律上死亡したとみなすものです。失踪宣告は、生死不明になって7年経ってもどこにいるかわからない、生きているかわからない場合に適用されます。戦争や震災などで生死がわからなくなった場合は、「特別失踪」に該当し、生死不明になって1年が経ったときに適用されます。

回復の見込みがないほどの強度な精神疾患である

夫婦は互いに扶助する義務があるため、精神病にかかっても、原則は支え合う義務があると決められています。しかし、意思疎通が難しいほどの精神疾患になった場合は、例外として離婚が認められるケースがあります。回復の見込みがない、意思疎通ができない精神病は、夫婦関係を継続できないと判断されるためです。

適切な治療を受けると治る可能性があるうつ病やパニック障害などを理由に離婚することは難しいです。精神疾患の場合は、治るか治らないかが重要視されます。

DVやアルコール中毒など婚姻を継続しがたい理由がある

DVやアルコール中毒などの正当な理由で婚姻を継続するのが難しい場合も、決定離婚事由に認められ、相手の同意なしに離婚できます。「性格の不一致」が理由で離婚する方がいますが、性格の不一致だけでは婚姻を継続しがたい重大な理由とは認められない場合がほとんどです。

婚姻を継続しがたい重大な理由として認められる例

  • DV(ドメスティック・バイオレンス)や虐待
  • モラルハラスメント
  • 親族から虐待を受けていることを知っていて放置
  • 性行為の強要
  • アルコール中毒
  • 薬物依存
  • ギャンブルや浪費癖

まとめ

協議離婚や決定離婚事由について説明いたしました。離婚したくても相手が合意しないとできません。どうしても相手が合意しない場合は、決定離婚事由をもとに裁判で離婚を進める必要があります。裁判となるとご自身だけで対応するのが困難なため、お近くの離婚問題を得意とする弁護士に相談してみてください。弁護士事務所は無料相談を行っているところもあるため、まずは話だけでも聞いてみてはいかがでしょうか。

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